訪問理美容の始め方

たまこ

訪問理美容をはじめたいんだけど、まず何からしたらいいのかな?
まずは訪問理美容について知ることから始めてみようか

しるこ

こんにちは、訪問理美容を広く世の中に伝えたい! 元・訪問理美容営業担当のしるこです。

訪問理美容の仕事を得るために施設や病院への営業から、アシスタントとしての付き添いなど訪問理美容部門の管理者として数年働いてきました。

この記事は訪問理美容に興味を持っている、これから始めようと思っている方向けに「訪問理美容の始め方やサロンとの違い」について解説しています。

こんな人におすすめの記事
  • 訪問理美容に興味がある
  • 訪問理美容がどんな内容が気になる
  • 訪問理美容を始めようと思っている

訪問理美容ってどんな仕事?

バリカン カット
訪問理美容とは、国家資格を持った美容師・理容師が、様々な事情で美容室・理容室に行くことができない方を対象に、自宅や介護施設、病院、障害者施設に伺ってカット・カラー、パーマ、顔そりなど、理美容サービスを提供すること

国家資格を持った美容師・理容師が、様々な事情で美容室・理容室に行くことができない方を対象に、自宅や介護施設、病院、障害者施設に伺ってカット・カラー、パーマ、顔そりなど、理美容サービスを提供することです。

訪問理美容という言い方の他に「出張カット」「訪問カット」などと呼んだりします。

訪問カットを利用できる人ってどんな人?

高齢者だけではなく、病気や要介護の人・介護をしている家族・育児中のママも対象

訪問美容(理容)は、高齢者のカットというイメージですが、法律では必ずしも高齢者に限定している訳ではありません。

たまこ

育児中のママも、介護している人もカットできるの?知らなかった〜
そうだよ!家を空けられない事情がある人も対象なんだね。

しるこ

厚生労働省のHPには以下のような記載があります。

理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号には次のような者が該 当すると考えられること。

(1)疾病の状態にある場合のほか、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態 にある等の状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念 上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの

(2) 自宅等において、常時、家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある 高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育 児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護 を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全 性を確保することが困難になると認められるもの

厚生労働省 HP

この内容から、以下のお客様に対してサービスが可能であると解釈できます。

  • 疾病があり、理容所・美容所に来ることが困難である人
  • 要介護状態(骨折・認知症・障害・寝たきり)で理容所・美容所にくることが困難である人
  • 育児や介護のため、理容所・美容所にくることが困難である人

ここをしっかり理解しておくことで、自分のサービスを誰に向けて提供できるかという「営業戦略」が変わってきます。

誤った認識をすると、保健所から指導が入る事態にもなりかねませんのでしっかり確認しておきましょう。

訪問カットが利用できる人 地域によってさらに広がる場合あり

バス 地域によって広がる
地域によっては対象者が広がる場合も。保健所に確認すれば一発でわかるよ。

疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合、その他都道府県(保健所設置市又は特別区にあっては、市又は区)が条例で定める場合には出張して行うことができる。

厚生労働省HP 美容師法より

訪問理美容を提供できる対象に「その他条例で定める場合」とあります。

「条例」とはその地域独自のルールですので、訪問カットがどの範囲まで認められているかは地域によって異なると解釈できます。

東京都の場合は、「条例」はこんな風になっています。

出張理容・出張美容ができる場合は、次のとおりです。

  1. 疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者に対して理容・美容を行う場合(※)
  2. 婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容・美容を行う場合
  3. 山間部等における理容所・美容所のない地域に居住する者に対して、その居住地で施術を行う場合
  4. 社会福祉施設等において、その入所者に対して施術を行う場合
  5. 演劇に出演する者等に対して、出演等の直前に施術を行う場合
東京都福祉局

東京の場合は、山間部の人は健常でも訪問してもいいんですね。

このように各地域の条例によって、対象者の範囲が違いますので各保健所へ確認しましょう。

訪問理美容の始め方 開業に必要な手続とは?

手続き

たまこ

開業の手続きって難しそう…どんな手続きが必要?お金はかかるの?
手続き自体は難しくないよ。必要な書類を用意して保健所に申請に行くパターンが多いかな。お金もかからない場合が多いよ。

しるこ

訪問理美容の始め方 保健所で手続きが必要

フリーでやるなら保健所手続きはマスト。

訪問理美容を始める時に、保健所への届出が必要です。

すでにサロンを経営している、もしくはサロン従業員の場合は、保健所への「申請」は不要という地域も多いです。お店で営業許可をとっているので、その延長と解釈されるからです。

サロンに勤めてない方(フリーで始めたい方)は、基本的に営業を行う市町村へ「営業の届出」が必要になります。

ただし地域によって判断が異なりますので、管轄保健所へ確認しましょう。

サロンを経営中届け出不要な場合が多い
サロンに勤務している届け出不要な場合が多い
フリーランス・訪問理美容として独立開業届け出が必要

尚、届け出には費用がかからない場合が多いですが、健康診断結果の提出が必要であれば、実費として診察代・診断書代がかかります。

保健所への申請については、別記事 訪問理美容師|開業のために必要なこと《保健所編》にまとめてありますので、参考にしてください。

訪問理美容師|開業するために必要なこと《保健所編》

訪問理美容の始め方 税務署手続きが必要なことも

必ず必要ではない。青色申告する場合は税務署で手続きが必要。

開業=税務署への届出と思っている方も多いのですが、必ずしも必要な訳ではありません。確定申告で「青色申告」をしたい人のみ、事前に手続きが必要です。

開業したばかりなら青色申告のメリットは少ないので、手続きするか判断に迷うところです。

別記事 訪問理美容師|開業のために必要なこと《税務署編》で詳しく書いてますので、経営方針としてどうしたいかを考えた上で、必要であれば申請してください。

訪問理美容師 |開業するために必要なこと《税務署編》 フリーランス美容師の確定申告 ー青色申告ー フリーランス美容師の確定申告 ー白色申告ー

訪問理美容の始め方 開業のためにお金はいくら必要?

サロンより断然やすい開業資金。車があれば100万以下で開業できる。

訪問理美容を始めるための「初期投資」は、比較的少なくてすみます。

まず、行政への手続きは先に説明した通りほぼ無料です。その他に必要な初期投資は、主に道具や材料、営業にかかるコスト。

具体的には、以下の通りです。

家賃自宅の一室を事務所にすれば0円0円〜
車代自宅用があれば兼用可能 新規購入ならかかる100〜200万円
設備代シャンプー台10万円
備品購入クロス、タオル、掃除用具、カラー材など 10万円程度
営業ツール名刺・チラシ・ユニフォームなど数万円

車を新たに用意する場合を除いては、数十万円で始めることができます。

サロンをオープンするのに1000万以上かかることに比べたら、かなり少ない初期投資で始めることができます。

必要な道具については別記事に詳しく記載してますので、どの程度道具の購入が必要か実際に計算してみるといいでしょう。

訪問理美容の始め方 サロンとの違いを理解しよう

カット道具

訪問理美容を始めるにあたり、サロンワークと比べて何が違うのか?を理解しておく必要があります。

訪問理美容とサロンの違い① 施術場所や道具が違う

一番の違いは、施術場所が違うこと!シャンプーするのも一苦労。サロンと同じようにはできるものではない。

訪問理美容とサロンワークの違いは、施術場所が違うことです。場所が違う=設備も違います。

出張先は個人のお宅や、介護施設、病院となりますので、シャンプー台はもちろん、専用のカットスペースがあるわけでもありません。

そのため、必要な設備は全て自分で揃え、持ち込む必要があります。

ミラーやシャンプー台、電源が遠ければ延長コードが必要ですし、施術場所を養生するためのシートや掃除用具なども必要です。

またどんな場所で施術するかわからないので、極端にカットするスペースが少なかったり、機材が思うように配置できない、思った以上にコンセントが遠かったなんてこともあります。

毎回違う状況にドキドキすることも多いのが、訪問理美容です。

訪問理美容とサロンの違い② 求められる要望が違う

おしゃれカットより、スッキリした機能的なカットを要望する人が多い。

利用者さんの多くは、どこかしら体に不自由な点があり、外出が難しい方です。

日常生活でも不自由に感じる部分が増え、結果「カットへの要望」も変わってきます。

体の変化
  • 自分でセットが上手にできたけど、今は腕が上がらない
  • 視力が落ち、細かいところまで見えない
  • 立ち上がり、洗面所へ行くためにも時間がかかる

要望の変化
  • 簡単にセットできるスタイルで
  • 洗髪に時間がかからないように短くして欲しい
  • まめにカットできないから短くして欲しい
  • 毛染めも負担になってきたからやめようかな

歳を重ねるごとに「体の負担を減らすヘアスタイル」を選ぶことが傾向があります。

こんなカラーが似合いますよ!とか、前髪が長めの方がおしゃれですよ!というアドバイスをされても、本人は「お手入れが大変だから無理」「長時間座ってのカラーは辛い」と思っている場合も。

高齢者の体がどう変化するのかを理解して、的確な提案できたらいいですよね。

要望を聞く上で気をつけること

  • なぜそのスタイルを希望しているのか?
  • ヘアスタイルを維持する上で、困っていることはないか?
  • もっと日常を過ごしやすくしてあげることはできないか?
  • 訪問理美容とサロンの違い③ ビジネスマンのスキルが必要

    介護業界で働く自覚が必要。トップスタイリストとか、店長という肩書きは意味がない。

    訪問理美容とサロンワークの大きな違いは「自分の立場」です。

    サロンへは、あなたのカットやカラー、パーマの技術や、提案能力、話術などを「あなた自身」を求めたお客様がいらっしゃいますよね。「スタイリスト◯◯さん」指名買いです。

    訪問理美容の場合はどうでしょう?

    まず、訪問理美容師が活躍する場は「介護の現場」です。

    施設の担当者が興味があることは、「売上がいくらのスタイリストであるか」ではなく、「どれだけ自分たちの要望通りに施術し、お客様を笑顔にするか」です。

    「スタイリスト」ではなく「業者」という認識されている場合も多いんです。

    だから技術そのものはもちろん、営業先・お得意様として、会社と会社のお付き合いがうまくできないとNG。ビジネスマンとしてのスキルが試されます。

    対個人としてではなく、ビジネスマンとして挨拶、気遣い、コミュニケーション能力の高さが評価されるのが、訪問理美容です。

    訪問理美容とサロンの違い
  • 場所が違うから、設備を自前で用意する必要がある
  • おしゃれ感だけではなく、体への負担が少ない施術が求めらえる
  • 会社と会社の付き合い。介護サービス事業者・ビジネスマンとしての対応が求められる
  • 訪問理美容で食べていくために必要な3つのこと

    車椅子

    訪問理美容の仕事は、どうやらサロンとは全然違うらしいと伝わったかと思います。では、具体的に何ができれば訪問理美容で食べていけるのでしょうか?

    訪問理美容で求められること① 介護の資格・知識・技術

    車椅子
    介護スキルがあるかどうかで売り上げが変わる

    訪問理美容に携わる場合、介護知識」はある方が断然有利です。

    介護現場で仕事をする以上、車椅子を操作したり、体を支えたりとい場面が多々あります。

    介護のことはよくわからないから、施設の担当者や家族に任せておけばいいやはNG。ずっと施設担当者・家族が立ち会う訳ではありませんし、お客様が二人きりということもあります。

    その状況で、車椅子への移動が必要だったら?酸素をつけているお客様だったら?

    全く知識がない中で、責任を持って施術できるでしょうか?

    またお客様や施設担当者、ご家族とお話する中で、介護の専門用語が出てくることもあります。

    専門用語がわからない状況では、うまくコミュニケーションが取れませんよね。

    「自分が介護する側」だったら、うまくコミュニケーションが取れない美容師より、介護知識があって、車椅子の扱いも慣れている美容師の方が安心して任せられると感じます。

    介護スキルがあればできること
  • 車椅子の扱いや移乗ができると、仕事をスムーズに進められる
  • 介護知識があると、お客様への接し方がわかる
  • 介護知識があると、施術中の注意点がわかる
  • 家族や施設担当者とのコミュニケーションがスムーズ
  • お客様や施設担当者、家族の「ニーズ」を把握できる
  • 介護の知識は、「介護初任者講習」という資格がおすすめです。

    「訪問理美容の講習」もありますが、介護に関しての内容は不十分です。資格の種類の違いなどは、訪問理美容を始めるなら受けるべき?講習会について解説という記事がありますので、こちらを参考にしてください。

    訪問理美容師に求められること② スピード

    早く施術することが、お客様の負担を軽くする

    次に必要とされるのがスピード

    訪問理美容を利用するお客様は、長時間同じ姿勢をとるのが辛い場合があります。最悪、途中で具合が悪くなり中断になることも。

    施術できないと、当然料金はいただけないですよね。

    スピーディーに仕事をこなすことで、自分にとってもメリットが増えますので、極力早く施術できるように道具を工夫したり、施術のプロセスを見直しをすることも大切です。

    • スピーディーな仕事でお客様の負担が減る
    • お客様に合わせた施術=満足度アップ
    • 一人当たりにかける時間を短縮でき、施術できる人数が増える

    訪問理美容師に求められること③ 状況を判断する能力

    いつ何が起こるかわからないから、慌てず判断できる能力が必要になる

    訪問理美容では、状況を判断する力、ヒアリング能力も重要です。

    お客様の言葉のまま受け取るのではなく、言葉の裏で本当は何を求めているのか?を理解する必要があります。

    例えば、施設担当者が「スッキリ、短くカットして」と言っている場合は、こんな理由があります。

    • ご自分でのお手入れすることが難しいから、長さのある髪型は維持できない
    • 手入れができない髪型だと、逆に生活しづらい
    • 職員が手入れするので、できるだけやりやすくして欲しい
    • ご家族の方にも「切った」ということが明確にわかるようにして欲しい

    ご本人様が「少し揃えてね」と言っているのに、施設担当が「短く」と言う場合は、そんな事情があるんです。

    ご本人との意向と異なる場合、理美容師として疑問を持つこともあると思います。

    そんな時は、その「言葉だけ」を受け取るのではなく、背景にある「事情」まで考えることができると、ご本人にも、家族や施設担当者にも喜んでもらえる結果に繋がります。

    お客様の要望も、施設側の要望もうまく汲み取れるとベストですよね。

    例えば衿足はスッキリしているけど、前髪は可愛らしさを残すように心がけるなど、素敵・おしゃれという部分と、スッキリ扱いやすいという部分を両方叶えてあげるように、要望の「間(あいだ)」をとって施術できたら良いと思います。

    また施設や家族も、訪問理美容以外の予定がありますので、次のスケジュール(例えば、お出かけ・お風呂・食事など)に影響がないかという現場の「状況」を判断する力も大切です。

    「状況」を判断する力・要望の背景にある「事情」のヒアリングする力は、訪問理美容をする上で非常に大切な力です。

    • お客様の体調は良さそうか
    • 体勢は辛くはないか?
    • 施設担当者、家族が求めていることは何か?
    • 時間は予定通りに進んでいるか

    訪問理美容の始め方 まとめ

    おばあちゃん 笑顔

    訪問理美容を始めること自体は、手続きや資金面からも、さほど難しいことではありません。

    金額だけ見ると気軽に始められると思うかもしれません。

    ただ、介護の現場は綺麗事だけでは済まされない世界です。

    伺うたびに体が弱っていく方、寝たきりで意志の疎通ができない方、心と体に病気や障害を持っている方もいます。

    そして、施設の担当者からは、施設に入る業者の人という認識です。

    サロンワークとは、世界が違うのです。

    ご高齢の方を素敵なスタイルで笑顔にしたい!という志は、絶対に大切です。私もずっとその気持ちでやってきました。

    ただ、それを実現するためには、綺麗事だけじゃない、泥臭い部分を乗り越える強い気持ち=自分自身の心構えがとても大切なんです。

    訪問理美容を始めるために大切な「心構え」を持てたら、いざ訪問理美容の世界に飛び込みましょう。

    • サロンと違うことを認識すること
    • 綺麗事だけではないことを認識すること
    • 何のために訪問理美容をするのか「目的」を忘れない
    • 目的を達成するための、強い気持ちを持つ

    訪問理美容がやりたい!気になる!という方は、一度、アルバイトで経験を積んでみることをオススメします。訪問理美容ノウハウを学んだり、どんな業界か知ることができます。

    まず、訪問理美容がどんな業界なのか、自分の目でよく研究しましょう。

    別記事で、訪問理美容の求人についても解説していますので参考にしてみてください。

    訪問理美容の求人事情

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