
興味があるけどよくわからないよ。私でも節税できるの?

得する経費の積み上げ方を教えてあげるね
節税するということは、支払う税金を減らすこと。
税金には、消費税、所得税、住民税など沢山の種類がありますが、本記事では、所得税の節税について解説します。
目次
所得税を節税しよう|経費と控除をコントロール!

課税所得に対して税率をかけることで計算されます。
所得税は
課税所得 = 収入 ー 経費 ー 控除
という計算式で出すことができます。
税率は変えることはできませんが、「課税所得を減らす」ことはできます。
売上を減らすのではなく、経費や控除を増やすことでコントロールするのです。
❌ 課税所得を減らす = 売上を減らす
⭕️ 課税所得を減らす = 売上を増やしつつ、経費や控除で減らす

節税1 フリーランス美容師は配偶者に給料を払おう|専従者

フリーランス美容師の節税方法として、専従者を登録するという方法があります。
専従者給与とは、配偶者や家族などに給料を払うことです。
直接カットをしなくても、理美容師の免許がなくても、経理業務や雑用などを手伝ってもらっている場合であれば専従者として登録できます。
専従者登録は、確定申告の方法を「青色」で出しているか、「白色」で出しているかで条件は違いますが、いずれも専従者登録することで節税することができます。
青色申告 経費

自分名義の給料だけではなく、家族へもいくらか払うことで税金を減らし、世帯収入を増やすことができます。
家族分の給料にも所得税がかかりますが、分散することで低い税率で払うことができるので、世帯一人でまとめ払うより家族へ分けて払う方が得なのです。
課税される所得税額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超え〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超え〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超え〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超え〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超え〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 44% | 4,796,000円 |
所得税の計算式 所得税 = 課税所得 × 税率 − 控除額
ただし、いくつか条件があります。
- 事業者と生計を一にしている15歳以上の親族
- 青色専業専従者給与に関する届出書を事前に提出
- その年を通じて6月を超える期間(※)専ら従事している
※事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間
用語が難しいので解説していきますね。
生計を一にしている15歳以上の親族ってどういうこと?
「家計が一緒で同居している親族」のことです
妻、夫、子供、親などを指す場合が多いです。
単身赴任などで同居していなくても、常に生活費を送金しているような関係だと「生計を一にしている」に該当します。
青色専従者給与に関する届出書とは?
専従者になる人の給料を先に報告する書類のことです
青色申告の場合は、専従者の給料に上限はありません。
ただし、あらかじめ専従者になる人の給料、経験年数などを記入した届出書を提出しておかなくてはなりません。
届出書に記載した金額が、実質の上限となります。
上限が無いからと高めに記入しておけばいいよね!と思うかもしれませんが、あなたの事業規模や他の会社の相場と比べて見合わない金額だと指摘が入ります。
また、年末になって「利益がいっぱい出そうだから、金額を多めにするぞ!」と急に金額を増やすという手は使えません。
青色専従者給与に関数る届出書は、国税局のHPから入手可能できます。
専従者は副業できるの?
基本的には認められません
文字の通り、「あなたの事業専門に従事します」ということになりますので、基本的に副業は認められません。
ただ本業が日中で、深夜バイトする、農業など季節労働をするなど、本業と被らない場合は一部認められることがあります。
副業収入がある場合は、自分の勤務時間をきちんと記録しておき、税務署に説明できることが必要になります。
配偶者控除・扶養控除と一緒に使える?
使うことはできません
専従者給与を使う場合、配偶者控除・扶養控除とは併用できません。
給与額が少ない場合、配偶者控除や扶養控除を使った方が得な場合がありますので、どちらを使ったら得なのか比較してから判断しましょう。
配偶者控除
配偶者控除を受ける人の収入 | 控除額 (一般) | 控除額 (老人控除対象 配偶者) |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
1000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
1000万円超 | 0円 | 0円 |
扶養控除
16歳以上 | 19歳以上 23歳未満 | 70歳以上 | 70歳以上 (同居老親等) |
---|---|---|---|
38万円 | 63万円 | 48万円 | 58万円 |
配偶者を専従者にするための条件は、それほど厳しくありません。
例えば、帳簿記載を手伝ってもらう、道具の片付けを手伝ってもらう程度でも「専従者」として認められます。
専業主婦(主夫)の場合など、他に仕事についてないのであれば専従者は検討の余地ありだと思います。
白色申告 経費
家族への給料を払えるのは、青色申告のだけと思っている人もいますが、
白色申告の人も、一定の条件を満たせば専従者控除を受けることができます。
- 事業者と生計を一にしている15歳以上の親族
- その年を通じて6月を超える期間(※)専ら従事している ※事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間
- 配偶者の場合は、年間86万円まで
- 配偶者以外の家族は、年間50万円まで
- ただし、③④は事業所得を専従者の数に1を足した数で割った金額が上限
事業者と生計を一つにするという条件は、青色申告の専従者給与と一緒ですね。
違う点は、上限額が決まっていることです。
上限額の計算方法は?
事業所得 ÷ (専従者の人数 + 1)
配偶者は86万円、配偶者以外は50万円が上限ですが、上記の計算式で出した金額と比べていずれか低い方で算出しなくてはなりません。
具体的な数字で見てみましょう。
事業所得(あなたの事業の売上から経費を引いた金額)が500万円で配偶者のみを専従者にしたい場合、
- 500万円 ➗ ( 1 + 1 ) = 250万円
- 86万円 < 250万円 → 上限は86万円
上限の86万円の方が低い額となりますので、専従者控除は86万円となります。
上限以外の違いは?
利益が出たことを確認してから経費にできること
専従者控除は、”使っても使わなくてもいい控除”です。
よって、利益が出た時は使って節税する、利益が少ない時は使わないと、年末にトータルの利益計算をしてから判断することができるのです。
白色申告は、青色申告のように事前に給与額を決めていないことから、このような節税方法も可能なのです。
節税2 フリーランス美容師の得する経費|青色申告の場合

青色申告 経費
貸倒引当金は「かしだおれひきあてきん」と読みます。
1ヶ月に一度、請求書を発行し、売上金を回収している場合(売掛金)は貸倒引当金を使うことができます。
万が一相手先の経営不振等で、売上(売掛金)を回収できなくなったら…
心配ですよね?
その心配を解消するために、万が一のお金として積立ておくのが貸倒引当金です。
売掛金の他にも、以下の場合も使うことができます。
- お金を貸した時の貸付金(会社が役員に貸すなど)
- 備品などを売却した時の未収金
- 受取手形(美容業界ではあまり使わないと思います)
貸倒引当金は、年末時点での貸付残高の5.5%まで経費で落とすことができます。あくまで「リスク管理として積み立てておく」だけで経費になるんです。
「現金」は減らなくても経費にできるので、税金だけが減るということですね。
請求書払いにしている美容師さん、フリーランスの方はぜひ使って欲しい節税方法です。
青色申告 控除
開業時など売上が軌道にのるまでの間は、備品購入やチラシなどの販促ツールを購入するなど、どうしても経費がかさみます。結果、赤字になることは多いです。
新しくサロンを立ち上げた時、黒字を出すまで1年以上かかりました。
もちろん帳簿上、赤字になりますが、この赤字は悪いことばかりではありません。
なぜなら、青色申告していれば赤字はMAX3年間、経費にすることができるからです。
例えば、1年目に40万円の赤字を出したとします。
2年目は軌道に乗って、黒字10万円だった場合も、昨年の赤字と相殺することで所得税を非課税にすることができます。
3年目は、去年の赤字を上回る利益が出ているので黒字10万円となり、所得税を圧縮することができました。
- 1年目40万円赤字 → 所得税0円
- 2年目10万円黒字 → 去年の赤字40万円-10万円 → 赤字30万円 → 所得税0円
- 3年目40万円黒字 → 去年の赤字30万円−40万年 → 黒字10万円 → 所得税5000円
赤字の繰越しは3年が限度です。もし赤字計上した場合は、翌年以降税金が安くなる!と覚えておいてください。
フリーランス美容師が得する経費|経費のつみあげ

青色申告 白色申告 経費
自宅を事務所として使っている場合、家賃や水道光熱費の一部を経費にすることができます。
例えば訪問理美容でカット自体は、お客様のところで行いますが、チラシを作ったり、予約を受けたり、道具の保管は自宅の一角を使っている方は多いんじゃ無いでしょうか?
自宅を使っている場合、 家賃、水道光熱費、ネット代、駐車場代など、使用割合に応じて経費にすることができます。
計算方法は、別記事フリーランス美容師の確定申告を参考にしてください。

青色申告 白色申告 経費
訪問理美容のように車がないとできない仕事はもちろん、銀行にいく、打ち合わせにいくと言った都合で車を使っている場合、車にかかるコストも経費にすることができます。
但し、使用割合に応じて按分する必要があります。
税務署に説明できる割合で按分が必要です。
また、借入をして車を購入している場合は、利息も経費にすることができます。
青色申告 白色申告 経費
美容師=人前に出る仕事、お洒落な服を着る必要がある
という視点から、経費になるのでは?と思う方もいると思います。
残念ながら「服」については、経費で落とすことは基本的には難しいです。
サラリーマンが着るスーツも、みなさん自腹で購入しているので美容師さんだけが特別とならないからです。
ただ、サロンや訪問で着るユニフォームであれば経費にすることができます。
特に訪問理美容なら、高齢者や施設の人に覚えてもらうことが大切がですから、ユニフォームを作って経費にするものいいですね。
みんなでプリントTシャツを揃える、ポロシャツ にオリジナルロゴを入れるだけで経費にすることができますよ。
ユニフォームの大切さは、こちらでも解説しています。

フリーランス美容師は絶対やるべき|未来のための経費

買い物をしたり、自宅で使った水道光熱費を経費にしたりと消費したものを経費にできることをご説明しましたが
実は、未来のための貯蓄に対しても経費にすることができます。
具体的には、以下の3つが使えます。
- 国民年金基金
- 経営セーフティー共済
- iDeco(イデコ )
年金については、美容師と年金という記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

青色申告 白色申告 控除
国民年金基金は、国民年金に上乗せするものです。

国民年金基金の加入は、「義務」ではありません。
「将来もらえる年金が足りないかも…」と思うひとが、国民年金に上乗せして払えるのが「国民年金基金」です。
よって、国民年金に加入してないと使えません。
もし国民年金すら払ってないということでしたら、まずはそこから支払いましょう。もちろん、国民年金も全額控除になりますから節税になります。
国民年金基金の優れているポイントは、全額控除することができる点です。
-
【国民年金基金の概要】
- 自営業・フリーランスとその配偶者
- 20歳以上〜60歳未満
- 掛け金は、月68,000円以内に自由に設定できる
- iDecoに加入している場合は、合わせて68,000円以内
- 1年分まとめて払うと割引される(0.1ヶ月分)
- 掛け金は年に1回まで変えられる
- 解約もできるがすぐ返金はされず、いずれ年金としてもらう
月68,000円までで掛け金を決めることができるので、無理のない金額で積立をすることができます。
税金を減らすために、いらないものを購入して無理やり経費をふやすのではなく、将来のために経費を使う方法は、かなり賢い節税方法です。
ただし、デメリットもあります。
途中で解約することはできますが、掛け金は65歳以上になり年金を受け取るまで引き出せません。
あくまで老後資金の積立ですので、運転資金は十分に用意をした上での手段として使いましょう。
青色申告 白色申告 経費
経営セーフティー共済とは、倒産防止保険がついた積立金のことです。
もし経営悪化した場合、現金調達のためにあらかじ積立をしておく感覚です。
40ヶ月以上加入していれば、全額解約手当金として返却されますし、40ヶ月未満でも解約手当金の95%までは、借入することができます。
ピンチの時に現金を用意することができるのです。
掛け金は全額経費にできますので、節税しながらリスク管理できます。
ただし注意しなければならないのが、解約手当金をもらう時に「収入」として扱われるので、税金がかかってきます。
あれ?節税したのに、税金がかかるの?
そうなんです。かかるんです。
よって、この経営セーフティネットは一時的に利益が増えた時の節税策として使い、税金の先送りをする制度でもあるのです。
解約手当金をもらうタイミングでさらに節税対策が必要になりますので、導入するときは税理士さんとよく相談した上で検討してください。
青色申告 白色申告 控除
イデコ というフレーズを聞いたことがあると思います。
これは「確定拠出年金」の通称です。
確定拠出年金も「年金」です。
国民年金や厚生年金に上乗せできる「年金」ですので、国民年金基金とよく似ています。
違う点は、自分で積立額を設定し、運用も自分でするという点です。
簡単にいうと積立形式で「投資」して、積立+増えた分を年金という形で受け取るのです。
普通は投資で増えた分にも税金がかかりますが、iDeco(イデコ )は非課税です。
そして、掛け金も全額控除となるので節税できます。
この非課税・節税というメリットもあり、年金が足りなくなると予測される今、iDecoはフリーランスはもちろん、サラリーマンの資産づくりとして人気なのです。
iDeco(イデコ) は国民年金基金と似ているため、上限額は国民年金基金と合算で80万4,000円(年間)までです。
フリーランス月額だと68,000円が上限になります。
-
【確定拠出年金の概要】
- 20歳以上〜60歳未満で国民年金に加入している人
- 掛け金の上限は68,000円
- 国民年金基金に加入している場合は、合わせて68,000円以内
- 掛け金は月5,000円以上で1,000円単位で決めれる
- 元本保証されている商品もあるが、投資のためリスクが伴う
- 60歳まで引き出せない
私も節税対策として、iDeco、ふるさと納税をやっています。
将来年金がいくらもらえるか不安だからです。
フリーランスは厚生年金に加入していないため、さらに手厚い老後資金準備が必要です。
手に職があるので、定年はない!老後も働ける!と思っても、腕が上がらない、腰が痛いという体の不調も出てきます。
美容師・理容師は体力的にも大変なお仕事です。
だからこそ、年金、老後への備は大切です。
節税対策にもなる、国民年金基金とiDeco(イデコ )への加入はぜひ検討してください。
また、上記では説明しませんでしたが、小規模企業共済というものもあります。
訪問理美容では設備投資も少ないので、使いづらいかなと思い省略してますが、興味のある方は調べてみてくださいね。
経費ではないのですが、同じように未来のために使えるものとして「小規模企業共済」というものがあります。
個人事業主や会社役員を対象にした制度で「退職金」代わりとして使われています。
廃業した時点、または役員退任の時に共済金が支払われるしくみだからです。
小規模企業共済も、掛け金は全額控除されます。
尚、加入資格は従業員20人以下の個人事業主や中小企業の経営者や役員です。
フリーランス美容師だって節税できる!
家族に給料を払い、自宅兼用のものを経費にして、未来の投資を経費にするという3つの節税方法を紹介しました。
ただ消費として経費を使うのではなく、上手に経費を使うことで節税しつつ、自分の資産を増やすことが大切です。
税金関係はめんどくさい、よくわからない、と思いますよね。
書類を書いたり、調べたりと事務作業が苦手な方には、ハードルが高い作業かもしれません。
でも、実行するのと、しないのとでは結果は違ってきます。そして後回しするとツケはやってきます。
ここまで読んでいただいたあなたは、すでに節税意識の高い美容師・理容師さんです。
それだけで、すでに一つ目のハードルは超えています。
あとは実践するだけ!
あなたのような意識高い系の美容師・理容師さんの成功を応援しています!
- 家族に給料を払う
- 自宅兼用のものを経費にする
- 未来の資産形成のために経費を使う